雨のことば辞典
倉嶋厚・原田稔/編著
講談社学術文庫
ふと目に留まって手に取り「へーっ、辞典だから確かにつくりは辞書だよなぁ」とパラパラとめくりました。
失礼ながら、どういう人が買ったりするのかと思ってしまいました。
どの辺の読者層を想定して、どのくらい売れると想定して作ったのかなぁと考えました。
本書は単行本での発売14年後に文庫化されたものです。
講談社学術文庫なるものも初めて知りました。
おそらくシリーズは本屋さんで目に入ってはいたのでしょうが、全然意識をしておりませんでした。
でも巻末の「講談社学術文庫の刊行に当たって」という文章を読んで、自分の下世話さにちょっと恥ずかしくなりました。
学術をポケットに入れることをモットーとして生まれた文庫だそうです。
「どのくらい売れる」とか考えてすみませんでした。
ファーストコンタクトは、俳句はもちろんのことことばで何かを創作されているなら語彙力の補完にいい、でした。
「雨についてのことばがこんなにある」と感心しながら読むはずでした。
ふーん、というスタンスでいたつもりですが気づけばじっくり読んでしまっていました。
編者の方もおっしゃっているように「雨の恵みを表すことばが意外に多い」のです。
季節の情景を思い描いて、旅行にでもいったかのようでした。
行間に豊かな眺めが広がります。
他にも雨にまつわるコラムやことわざ・慣用句があります。
ことわざ・慣用句には「晴耕雨読」など有名なものもありましたが、ほとんど知らないものばかりでした。
こちらも説明を読むだけで景色が広がって、それにまつわる落語のひとつでもありそうでした。
当初に思っていた以上にはまって読んでしまいました。
たまにパラパラとめくってしまうような、手放しにくい1冊です。