歴史の愉しみ方
忍者・合戦・幕末史に学ぶ
磯田道史/著
中公新書
歴史について理論的に書いてあるので、あまり歴史に詳しくなくても、そもそも大量な知識が必要なことが苦手な人にも愉しく読めます。
現代に活かせる「歴史通」になりたいあなたへ。
と、カバーの折り返し部分に書いてありました。
「歴史通」になるには私の土台が皆無なので本を1冊読んだくらいでは無理ですが、現代に活かせることが書いてあります。
本書はどこかの学術論文や書籍にあったことではなく、磯田道史氏がみつけて解読した古文書の内容を中心に書かれています。
その古文書の入手方法も図書館や古本屋さん、古い民家からなので自分でも調べられたかもしれないと思えるほど身近な史実です。
私は学校の勉強の歴史が苦手です。
中学までは印象がないのでいたって普通だったのだと思いますが、高校になってからは日本史選択をしなかったのと世界史の勉強方法をピンポイント暗記一辺倒で間違えたのとでスッポリ常識が抜けています。
たまに大人になってからあまりの常識知らずで恥ずかしくなります。
偶然に観た大河ドラマで「歴史上有名なこの人とこの人は同じ時代の人で、知り合いだったのね」と感心するレベルです。
そんな私でしたがTVで、さかなクンと対談していた磯田道史氏がおもしろくて著書にも興味をもったので
天災から日本史を読みなおす/磯田道史著
を、読んでみました。
そして「天災から日本史を読みなおす」と本書の「歴史の愉しみ方」の両方から磯田道史氏の文体が好きなのだと気づきました。
私に合う、というか歴史の土台が無くても頭にスッと入ってきます。
「歴史の愉しみ方」もひとつひとつのエピソードが短くまとまっていてテンポ良く読めます。
歴史にうとい私なので、忍者に関しては都市伝説的に話が膨らんだものだと思っていました。
本書では忍者の履歴書(奉公書/ほうこうがき)について触れています。
そんなものが残っているのですね。
そして伊賀や甲賀の忍者の給与や業務内容の変遷、労災についても古文書から割り出しています。
すごい、忍者が身近にリアルに感じます!
歴史の勉強は膨大な資料をただただ読むのだとばかり思っていましたが、点と点をつないで線にする作業でした。
その「点」も理論的に拾われています。
そこで「天災から日本史を読みなおす」という著書も理論に基づいているとさらに納得できます。
本書でも「震災の歴史に学ぶ」という章があります。
歴史を学ぶ上で、理論的に震災について学ぶことはとても大切だと改めて考えさせられました。