【本】1998年の宇多田ヒカル/宇野維正 著

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1998年の宇多田ヒカル
宇野維正/著
新潮新書



2016年春からの朝のNHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」の主題歌を宇多田ヒカルさんが担当することになりました。
2010年から活動休止されていたので、発表時はちょっとしたニュースになりました。
話題になっていたからか、本書も本屋さんで目に留まるところに置かれていました。

1998年にデビューされたのは鮮烈に覚えています。
そのシーズンのスキー場ではデビュー曲の「Automatic」が繰り返しかかっていました。
あまりにかかり過ぎて「しつこいっちゅーねん!」と思ったものです。
リフトに乗りながら「こんなに才能のある人が、才能を発揮する環境に恵まれてよかったなぁ」と、謎の上から目線なことを考えたのも覚えています。

1冊まるまるデビュー当時の宇多田ヒカル(以下敬称略)について書かれているのかと思ったら、椎名林檎、aiko、浜崎あゆみについても章だててあります。
この4名は1998年にデビューされていたのですね。
時代背景とともに1998年の宇多田ヒカルと、同じ年にデビューした歌姫たちについて書かれています。
「特別な年」とされていますが音楽シーンの潮目が変わっていく年として描かれています。
その潮流を当時を思い出しながら読みすすめます。

aikoも「もっとも天才かもしれない」とされています。
私のイメージではaikoは歌のうまい普通の女の子が恋の歌を作っている、でした。
とんでもなく吸引力があり、異常なまでにクオリティーがある、となっています。
音痴ぎみの私は全然わかりませんでした。

失速してしまった印象しかなかった浜崎あゆみも、本書ではトリビュートアルバム「宇多田ヒカルのうた -13組の音楽家による13の解釈について-」に参加していることにふれられています。
「Movin’ on without you」をカバーして、賞賛をうけているそうです。
高音まで気持ちよく突き抜けているそうなので、音楽好きにほめられる歌声を聴いてみたくなりました。
「なんとなくCDを買っていた」人たちの私が久々に腰を上げます。

本書を読んで、aikoと浜崎あゆみをせまい角度からのイメージでしか見ていなかったことに気づきました。
インターネットでは莫大な情報量におぼれがちですが、読書ではこういった小さな出会いもあるのでやめられません。


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